開眼者からの手記  希望のあかり

手作りショコラ工房  アカリチョコレート   上原 晋

私は鹿沼市で小さなチョコレート店を営む者です。

広く明るく暖かく照らしてくれる「あかり」のようでありたいとの願いを込め「アカリチョコレート」という店名にしました。この夢を叶えられたのは角膜移植によるものといっても過言ではないと思います。そして栃木県アイバンク、角膜提供者の方、獨協医科大学眼科の千葉先生と私が出逢えたからだと思います。

私は群馬県出身で、生まれつき強度近視という進行性の近視でした。メガネでの矯正が出来ず、小学校2年からハードコンタクトを使用しましたが、それでも黒板の文字が見えず苦労しました。いつもぼんやり外を眺めては、いつか目が良くなる事と、お菓子屋さんの夢を見る少年期だったと思い出します。

21歳の時、世の中はバブルの真っ盛りで、私の最初の転機が訪れます。
当時テレビニュースの特集で「近視が治る手術」というものを見た私は、疑いもせず、ある先生の言葉を信じ何種類かの手術を両眼に受けました。術後左目の角膜が混濁し歪んだ状態で視力はゼロに近くなり、片眼の生活がその後10年程続く事になります。その眼科は今はもう有りません。

片眼でもそれを隠しながら必死に外食企業に勤め、東京、群馬、栃木県と転勤。宇都宮で今の妻と出逢い、獨協医科大学とも出逢うことになりますので、栃木県は私の人生において幸運の地ですね。
何年もの間、様々な眼科で治療を断られておりましたが、初診で獨協医科大学を訪れた私に千葉先生は「僕がやってあげましょう」と一言。全身が震えるほど嬉しく感動しました。
その後千葉先生執刀の角膜移植も無事に終わり、明るい病室のベッド上で私に角膜を提供してくださった方を心で感じ合掌し、開眼した喜びの中チョコレート屋を目指す決意をしたのです。

洋菓子店やチョコレート店での厳しい修行も妻のサポートと過去の体験からの勇気で乗りきり、念願のチョコレート専門店を2008年に開店。現在8年目を迎えましたので、そろそろ私なりにできる恩返しをと今回の手記を書かせていただく事にいたしました。角膜移植によって「希望のあかり」を手に入れる事ができた者として、今後もできる限りアイバンクの価値を伝えて参ります。

ありがとうございました。

※ 大谷石の造りで、レトロな雰囲気とっても素敵なお店です。
もちろんチョコレートも最高に美味しかったです。
お店の写真も撮らせていただきました!すみません。
上原さんありがとうございました。・・・栃木県アイバンク事務局より

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